初めての彼に言われた言葉の呪縛から逃れたくて

南京香さん(48歳・保険外交員)は、現在アンダーヘアの永久脱毛を実行中。えっ、この人が?と、清楚なイメージと大胆な行動力のギャップに驚いてしまったのだが、やはり気になるのはその動機。単刀直入に訊ねると、南さんはキョロキョロとあたりを見渡したあと、声をひそめて語り始めた。

「私、昔から毛深いのがコンプレックスだったんです」

林間学校などでクラスメイトと一緒にお風呂に入ると、みんなの視線が一斉に「毛」に注がれて恥ずかしかった。思春期には「背中の産毛が濃いね」と友だちに指摘されて傷ついたこともある。青春時代はストッキングの中で渦を巻くすね毛の処理に追われ、当時流行りのハイレグ水着もビキニラインからはみ出る毛が怖くて諦めたという。

「だから二十数年前に永久脱毛できると知ったときは、本当にうれしかった! これで人生が変わると思ったくらい」

今でこそ、お手ごろ価格になった永久脱毛だが、当時はまだ施術料が高く、両わき、すね、背中のムダ毛を脱毛して総額60万円くらいかかったという。しかし生きるか死ぬかというくらい悩んでいた南さんは、なんとかローンでお金を工面して、迷わず飛びついた。

そんな南さんも最後の砦、アンダーヘアの永久脱毛にはためらいがあった。

「変な話、施術中はサロンのお姉さんにアソコが丸見えなんですよね。でもやっておくべきでした。20代前半に生まれて初めて恋人ができたんですけど、その彼に『君の陰毛、ボーボーだね。やる気満々って感じ』と言われてしまい、完全にトラウマになりました」

とはいえ、それは四半世紀も前の話。そこで改めて訊いてみた。50歳を目前にした今になって、なぜアンダーヘアの永久脱毛なのか?

「えーとですね、なんというか、もう見たくないんです、自分の陰毛。あ! あと、毛がないと生理のときナプキンでムレたり、かぶれたりすることもないっていいますし……」

と、なにやらシドロモドロ。さらに追及してみると、ようやく本音を明かしてくれた。

「実は最近、20代の男の子と頻繁に会うようになって……。ちょっといい感じに盛り上がっているんです。今度、旅行に行こうかなんて話も出るくらいに。初めての彼に言われた言葉を思い出すと、そうなる前に、きちんと準備をしておきたいじゃないですか」

どうやら南さんのアンダーヘアの永久脱毛は、密かな野望と密接な関係にあるようだ。