時間をやりくりしながらの執筆活動

辻村 2歳のお子さんが同じ部屋にいる時に執筆するのは大変そうですが、どうしていますか。

町田 もう慣れっこですね。小説を本格的に書き始めた時は、赤ん坊を右手で抱きながら、左手でガラケーを握って文章を打っていました。子どもがぐずったら手を止めて、また次のスキマ時間を狙って書くんです。

辻村 すぐにモードを切り替えられるのがすごい。私も最初は、子どもがテレビを観ている隙に、原稿のチェックなどちょっとした仕事をしていたんです。でも、つい没入して子どものことを忘れてしまうので、よくないな、と。今は子どもと一緒に夜10時に寝て、朝4時に起き、自分の時間を確保しています。その時間は原稿を書いてもいいし、好きなドラマやアニメを観てもいいことにして。

辻村深月さん(写真:本社写真部)

町田 子どもを育てていると、まとまった時間を作るのが難しいですよね。最近、受賞の効果なのか、夫や子どもたちが気遣ってくれるようになりました。先日なんて、夫が「ゆっくり執筆してきたら?」とホテルを予約してくれたんです。

辻村 ええっ、うらやましい! 

町田 でも、久しぶりの一人時間に戸惑って、部屋で体操なんかしてしまいました(笑)。これからは集中して書く時間をもっと増やしていきたいですね。