ふつうの生活を楽しめる
施設長の若山三千彦さんによると、ペット可の施設を開設したのは、「介護が必要になってもふつうの生活を楽しめる」ことを目標にしたかったからだという。
「デイサービス事業を行っていた時、利用者だった身寄りのない男性が自宅で暮らせなくなり、泣く泣く飼っていたミニチュアダックスを知人に託して保健所に連れて行ってもらったそうです。犬も高齢で、引き取り手がみつからなかったんですね。入居した施設に職員がお見舞いに行くと、『自分の家族を殺してしまった』と、いつも泣いていらした。人生の最後に、自分を責めながら亡くなるのは酷なこと。それで、ペットと入居できる施設を実現させようと考えたわけです」
介護事業者からの問い合わせや見学もあり、間もなく熊本県でもペットと同居できる特別養護老人ホームがオープンするそうだ。
ペットを飼う人が増えている今、自分の最期と同様にペットの最期を考えることは避けて通れない課題。私も2匹の猫を飼っているので、悔いが残らないようちゃんと準備をしておかねばと、改めて心に刻んだ。