ペットと同居できる幸せ

佐々木幸さん(90歳)は、15歳のマルチーズ、ベラちゃんと1年前に入居。夫亡き後ひとり暮らしをしていたが、自宅で転び救急車で搬送された。自宅での暮らしが難しくなり、最初はペット不可の有料老人ホームに入居した。

「私たち夫婦には子どもがおらず、ずっと犬を飼ってきて、ベラちゃんは4代目。前のホームに入っていた7ヵ月間は、岩手県に住む弟が面倒を見てくれました。でもやっぱり、ベラちゃんと一緒に暮らすことが諦められなくて……。その想いを伝えたところ、姪がこの施設を探してくれました」

ただユニットで飼える犬の数に空きがなかったため、先に佐々木さんだけ入居。1ヵ月後に、ベラちゃんも無事に施設へ入れた。「20年1月にようやく再会できました。今、最高に幸せです。本当にありがたい」と、満面の笑みで喜びを語ってくれた。

梅津冨美子さん(91歳)は、15歳のシーズー、サリーちゃんと2年前に入居した。佐々木さんと同様、体調を崩して入院している間は家族がサリーちゃんの面倒を見てくれていたが、退院後自宅に戻るのは難しく、施設を探していたという。その際、「サリーちゃんと別れるなら入りたくない」と家族に告げ、ここに辿りついたそうだ。梅津さんは認知症が進行しているなかでも、サリーちゃんを抱いて、「わが子と同じだから。小さい時からずっと一緒。嬉しいです。楽しいです」と笑顔で何度も繰り返していた。

「ペットと暮らせて幸せ」と語る、梅津さん(左)と佐々木さん(右)