女と男の中間をさまよう大きなサナギ

彼女について私が初めて文章を書いたのは、1971年のことだった。『NOW』という今はなき伝説の雑誌の人物論である。その文章の執筆のためのインタビューで、彼女はつよい印象を私にあたえた。私もまだ三十代で若かったし、太地喜和子も若かった。そのとき書いた文章を読み返してみると、脇の下がむずむずしてくる。太地喜和子のほうも、そうだったにちがいない。

「キザな文章を書くお兄さんだねえ」

と、酒の席で笑っていたのではあるまいか。

そのときの文章の一部を再録してみよう。時代を感じさせる名前がいくつも出てくる。