対談「男殺し役者地獄」

その雑誌が出てしばらくしてから彼女と会った。

「ガルシア・ロルカって、スペインの絵描きさんよね」

と、彼女はとぼけた口調で言った。たぶん私のキザな文章がよほど照れくさかったのだろう。

話は変るが、私はこれまで対談という仕事を何よりも大事にしてきたし、好きだった。対談のゲラ刷りには、必ず手を入れて編集者を困らせたものである。太地喜和子もそうだった。

1973年に彼女とやった対談のときも、私が手を入れた後に、彼女はさらに加筆と削除を重ねて、その対談はあたかも演芸場での漫談ふうの仕上りとなった。これまで無数の対談をこなしてきた私の対談歴のなかでも、とびきりテンポのある対談だと思う。『オール讀物』の新年号特別対談である。題して、「男殺し役者地獄」。その一端をご紹介する。