「親の後悔はネガティブなメッセージとして子どもに伝わる。それでは事態がよくなりませんね」(岩井さん)

池上 息子さんは、小説家でありタレントでもある岩井さんの生き方に憧れているんじゃないですか。

岩井 どうなんですかねえ。彼の父親は岡山で手堅い商売をしているので、ときどき会社も手伝ってはいるようです。家賃と小遣いは母ちゃんに出してもらい、「いざとなったら親父に雇ってもらえばいい」みたいなことを言うので、「世の中、舐めとるんか」と突き放したくもなりますよ。ただ、知人が息子さんへの援助を断った途端、息子さんが孤独死してしまったことがあって……。

畠中 確かに、援助をいきなり断って、うまくいったケースは見たことがありません。親にとってはギリギリまで我慢した結果なのでしょうが、極端な手段はとらず、ソフトランディングしないと。

岩井 それは、私から息子に声をかけるのがいいんですか。

池上 子どもの人生設計を考える際、親が先回りしすぎるのも、実はよくない。「こういう方法があるよ」と複数のプランを出して、あとは本人のタイミングと判断で選んでもらうのがいいと思います。

岩井 「とりあえず30までには、真面目に将来を考えろよ」と釘は刺してるんですけどね。ただ私には、5歳のときに息子を置いてきた、という負い目があって。それでつい甘やかしてしまう。彼の父親は父親で、私との離婚直後に再婚したという弱みもある。そのあたりをヤツは見抜いて、うまく立ち回っているんでしょう。(笑)

池上 子どもがひきこもったり、なにか問題を抱えたりしたとき、「私の育て方が間違っていたんじゃないか」と、ご自分を責めるお母さんは少なくありません。でも親が「育て方を間違えた」と悔いてしまったら、苦しい時間を一所懸命過ごしてきた子どもの生き方をも否定することになる。誰もが、そのときどきでベストな選択をしてきた、と私は思いますよ。

岩井 親の後悔はネガティブなメッセージとして子どもに伝わる。それでは事態がよくなりませんね。