なぜ成績が悪くとも内定をいくつも取れたのか
子供の幸不幸を分けるのは、学校の成績ではありません。
私の友人のお嬢さんが、勉強が嫌いで成績も悪く、親からは「どこにも就職できないのでは」と心配されていました。ところが、その子には大手企業からいくつもの内定がきました。
なぜ、そんなことが起きたのかといえば、企業の説明会で上手に自分を売り込み、学歴フィルターで弾かれそうな企業は直に会社に申し込み、面接官に会ってもらって自己アピールをしたからです。
最初にその子に会った時に驚いたのは、その子の「コミュ力(コミュニケーション能力)」の高さでした。
初対面なのにニコニコッと笑って私の手を取り、「おばさんて凄いね」と言うのです。「何が凄いの?」と聞き返すと、「いろいろ凄い」「なんか凄い」「とにかく凄い」と「凄い」を連発し、具体的に何が凄いのかは言わず、こちらから「凄いって、**みたいなところ?」と聞くと、すかさず「そうそう、それそれ。**みたいなところ、尊敬しちゃう、本当に凄い」と言う。
たぶん、どんな人でも一つは人より優れているかもしれないと思えることはあるもの。けれど、それをひけらかすのははばかられるのであえて言わない人がほとんど。
そういう人に、初対面で、ひたすら「凄い」を連発して懐に飛び込み、相手の口から良いと思うところを言わせ、そこをとことん褒めあげる。グイグイくるのが嫌味に感じないのは、天性の能力なのでしょう。
いったい、どこでこんなテクニックを覚えたのかと思いながらも、褒められると悪い気がする人はいない。友人は、「あの子は、二度目に会う人にはもうタメ口で……」と呆れていましたが、これだけのコミュ力があれば、一生食うに困らないでしょう。
企業の採用官からよく聞くのは、「挨拶もろくにできない新卒が多い」という嘆き。そんな採用官の目に、彼女の「コミュ力」が魅力的に見えたことは言うまでもありません。