火災被害は自助努力

しかし逆に言えば、お隣の家が火事を出して被害を受けても、相手に重大な過失がなければ、あなたは何の賠償もしてもらえないということになります。

筆者は10年以上前に3軒の家が類焼した場面を目撃したことがあります。消防は「類焼防止」から消火ホースで近隣の住宅の外壁や窓に放水しますが、想像以上の水力のため、窓が割れ、浸水したり、家電や家財が使えなくなることも。筆者が目撃した家屋は、必死の消防活動にも関わらず、あまりにも火の勢いが凄まじく3軒ともに全焼してしまいました。

理不尽に思うでしょうが、火災被害は自助努力、つまり自分で火災保険に加入して保険金支払いを受けなければいけない仕組みです。先の類焼した全世帯の家族は無事でしたが、何一つ持ち出せず、狂ったように泣きわめいている家族の姿を、記憶からぬぐい去ることができません。

ただ、いくら法律で出火元が近隣に賠償しなくてもいいと制定されているとはいえ、現実は違います。先の焼け出された家族は、火元の家族に対して激しい怒りをぶつけていました。何の過失もないのに、その晩から着の身着のままになってしまい、泊まる所から探さなければならないのですから当然です。

こうしたことから、最近では、近隣への見舞金が支払われる特約や自宅の残存物撤去代、代替の宿泊費の費用などが支払われる特約がついた保険も発売されています。保険料とのバランスを考えながら、検討してみてはいかがでしょう。