親の介護で「介護離職」が忍び寄る【50歳】

50歳を迎え人生後半戦に突入すると、考えるべき対象は自分のことや子どものことだけではおさまりません。両親の老後の生活、特に介護問題と向き合う必要が出てきます。

ひと昔前であれば介護問題はそこまで大きくありませんでしたが、今では誰もが通る関門となりました。図の「介護離職者の年齢分布」より、50歳あたりから介護離職はピークを迎えていくことが読み取れます。

「介護離職者の年齢分布」(『老後の年表』<かんき出版>より)

 

親の介護では、2つのリスクが発生します。

一つは、仕事と介護との両立。もう一つは、身体的だけでなく精神的にも異変が出始めること。出口が見えない穴に入った気持ちになり、介護うつになる可能性が出てしまうのです。一生懸命親のためにと思ってしたことが、自分自身を苦しめることになります。

家族がいる人であれば、配偶者や子どもに影響を及ぼすことも。配偶者が介護に協力的ではないことで、離婚を引き起こすのも珍しくありません。

今の時代は昔と違い、妻が義理の両親の面倒をみることが常識ではなくなっています。

法的にも、その点は保障されています。「民法第877条1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」。この法律から導かれることは、「直系血族や兄弟姉妹は原則扶養(介護)する義務はある。ただし義理の親は、直系血族にあたらない以上、介護する義務はない」ということです。