介護離職の理由の多くは「老人ホーム代が払えない」

2021年現在、介護のために仕事を辞めた「介護離職者」は10万人近くにものぼっていると言われます。

一般的に、「親の介護スタート=介護施設即入居」とはならないことを知っておいてください。自宅で数年間、配偶者や子どものサポートがあって自宅介護をして、限界がきたら介護施設に入るパターンが圧倒的に多いのです。一口に介護といっても、自分自身で生活を送ることができる人もいれば、常時介護者のサポートが必要な人もいます。

図「要介護度認定の区分」は、国が定めた分類。高齢者の状況によって等級をつけて、介護レベルを要支援1~2、要介護1~5まで定めています。資金的に余裕があれば施設に入りますが、施設利用料が親の資産から捻出できれば介護離職にはなりません。

「要介護度認定の区分」(『老後の年表』<かんき出版>より)

ただ、民間の介護施設と比べて費用が抑えられた特別養護老人ホーム(特養)のような施設は、入居待ちになっているケースがほとんど。さらに、介護レベルに応じて入居の順番も決まるので、早く申し込みをすればよいというものでもありません。

入居を待っている間は、民間の老人ホームに入居する選択肢が出てきます。入居費用が賄えればよいのですが、無理な場合は自宅で家族がみざるを得ず、介護離職が視野に入ってきます。実際に、介護のために離職する理由で多いのが、金銭面の都合となっています。