女性に多くみられる耳管開放症

難聴であるかどうかを調べるには検査が必要ですが、健康診断の聴力検査には「落とし穴がある」と萩野先生。

「健診や人間ドックでは、低音域の1キロヘルツと高音域の4キロヘルツの聞こえ具合を調べることが一般的。ところが、1キロヘルツより低い音が聞こえづらい難聴もあるのです。健診では見つかりにくいため、実際に聞こえづらさを感じていても、原因がわからないまま不自由な生活を続けている人も多くいます」

聴力検査からもれてしまう難聴は、自律神経の乱れが原因となっていることが少なくありません。

「ただ、自律神経失調症による難聴は、医師の間でもまだ広く認知されていないため、『数値的には異常がないのだから、それは気のせいでしょう』と言われる人も少なくないようです」

このタイプの難聴で、最近とくに目立つのは「耳管開放症」という病気。女性に多くみられます。

「耳管とは、内耳から鼻の奥を抜け、上咽頭という、のどの上部に通じている管のこと。耳管は、つばを飲み込んだりあくびをしたりするときに一時的に開きますが、通常は閉じています。そうすることで、外耳から入った音の振動が安定し、聞こえやすい状態を保っているのです」

ところが自律神経が乱れると、耳管が開いたままになるとか。