Q2 予防は、いつからはじめるとよいですか
A2.軽度認知障害(MCI)か、その前の段階で予防すれば、発症を遅らせることができます
認知症になる脳が変化をはじめるのは、発症する20〜30年も前から。特に患者数の多いアルツハイマー型認知症の場合、「アミロイドβタンパク」というタンパク質の蓄積が原因とされており、脳にゆっくりと溜まっていきます。無症状の時期が続き、アミロイドβタンパクからリン酸化タンパクという物質が出はじめると、脳の神経細胞が壊され認知症を発症。残念ながら、現在の医学では一度発症した認知症を完治させることはできません。
ただ、進行のスピードは環境に左右されます。家族の理解とサポートがあり、認知機能が衰えても安心して暮らせる人は進行が遅く、逆に家族に怒られたりするなど不安の多い環境にいると、早く進行します。また認知症の初期段階で治療をはじめれば、進行をゆるやかにすることができます。
これは予防にも同様のことが言え、認知症リスクが高い生活習慣を改善していけば、発症を抑えたりゆるやかにしたりできるのです。特に私は、認知症の一歩手前の状態である軽度認知障害(MCI)で予防することに力を入れており、この段階での取り組み次第では認知症の発症を遅らせることができると考えています。