伊藤 そこから結構、生活をガラッと変えたよね。まず禁煙ね。

枝元 ひろみちゃん、わたしがタバコ吸わないほうがいいって、ずっと思ってた?

伊藤 口には出さねど思ってました。ねこちゃん家から帰って最初にするのは「着てるものもバッグの中身も全部洗濯」だったもん。

枝元 すんません、タバコ臭くして。今は代わりに好きなアロマを常にディフューズしてる。朝起きたらアロマオイルで全身マッサージ。できるときはスクワット10回、その後Netflixのガイドに沿ってぼおっと呼吸法を試しつつ瞑想を20分。ようやくキッチンに来て、野菜だけの滋味スープを飲んでる。午前中は自分の時間と、ゆるりと暮らすようになった。免疫力アップにもなるしね。結構ごきげんに暮らしてる。

伊藤 ふたり並んで歳とっていって、いつかどっちかが先に死ぬだろうって思ってたのに、この病気で、えっ、ちょっと待ってよって焦った。そりゃいつか死ぬだろうけど、今じゃないだろうって。ねこちゃんがいなくなることを考えたら、なんだかもう寂しいっていう以上の。あたし、親や夫のときは冷静だった。もうそれ以上の。

枝元 でもわたしは何か……治るんじゃないかっていう気がしているんだけど。

伊藤 病院嫌いのねこちゃんも通院はしてるしね。進行してはいないって聞いて一安心してる。

 

その時はお経をよろしく

枝元 病気のこともあるし、年齢的なものもあって、仕事は結構いいペース。仕事の内容も変わってきているし。もういいかなって思うところも……。

伊藤 昔はさ、あたしが夜、ここに帰ってくるとのびてたよね。「ナスの料理を32皿作って撮影した」とかって。仕事の量が普通じゃなかったもの。

枝元 メディアが血気盛んで、自分も来た仕事は何でもやるぞっていう、ありがたい時代に十分仕事したと思う。今は、環境のことや子どもたちの未来とかを考えると、おいしさや見栄えや、簡単や早い安いはもういいかなって。

伊藤 若いときから社会的な意識持ってるよね。特に東日本大震災の後から社会的な発信が増えた。ビッグイシューも、「夜のパン屋さん」や「おとな食堂」も。