「書くことは認知症の進行予防にもなるね」という長谷川先生自筆の言葉

 

喜ぶ父の姿を見るのは、やっぱり嬉しい

両親が老人ホームに入居してからは、週に1度、面会に通っています。ただこの時期、両親のいるホームでは、家族でも面会時間は15分。短いなと思わないわけではありません。それでも、やっぱり会いたい。そう思って、出かけるのです。

施設内の面会できる場所に入るとまずは、車いすに座っている父の正面に回って、「おはよう」や「こんにちは」と声をかけます。横から声をかけても気がつかないことがあるため、真正面からきちんと目を見て挨拶する。すると「やあ! 来てくれたんだ」と、父の目が輝いて、母もニコニコ。

先日も、父と一緒に散歩していたら、「ありがとう。ありがとう。いまは特別じゃないことが特別に思えるよ」と喜んでくれました。そんな父の姿を見るのは、やっぱり嬉しい。半面、コロナ禍でなければ、実家で何気ない時間を家族で一緒に過ごせるのに……と、切なくなることも多くて。寂しくなって、施設を出てすぐに父に電話をしてしまうこともよくあります。

お話ししていて改めて実感しますが、私は、父が大好きなんです。だから、今後も父のやりたいことや仕事をサポートできたらと考えています。自分が必要とされているとき、集中して向き合うと私自身の心が満たされて、後回しにしていた用事が不思議とはかどるのです。もちろん、その時々で精神状態や体調も違いますから、毎回は無理でもかまわない。できる限りでと思っています。