「《手伝う》とか《してあげる》という感じではないよね。共同作業として、子どもを一緒に育てているなと実感がある」(りあさん)

大進 声も電話を持つ手もぶるぶる震えて。でも、二人で話しているうちに子どもの様子が落ち着いてきて、鼻血が出ただけだってわかった。(笑)

りあ それからは子どもに何かあっても、動じなくなったわよね。

大進 学んだからね(笑)。僕が降り番の時には子どもの世話をするようにしている。

りあ ほんとにいつも助かってます。あなたのお父さんぶりに点数をつけるとするなら、120点。

大進 おー!(驚いてのけぞる)

りあ 「手伝う」とか「してあげる」という感じではないよね。共同作業として、子どもを一緒に育てているなと実感がある。

大進 120点をもらったけど、母親には点数なんてとてもつけられないな。いくら僕が父親としてがんばったとしても、母と子どもの繋がりにはかなわないから。自分は、母と子の隙間を埋めていく、くらいの気持ち。僕らは音楽家なのでよく「お子さんに音楽教育はしていますか?」なんてかれるけど、何もしていないよね。

りあ お姉ちゃんが小学校に上がって、自分のやりたいことが見つかれば、親がサポートすることもあるでしょうけれど。今は二人を育てるので精いっぱいです。(笑)

大進 僕は一人っ子だから、子どもが二人に増えた時、どんな感覚で接すればいいのかがわからなかった。あなたは四人きょうだいの長女なので、よくわかっているよね。最近は、お姉ちゃんが弟の面倒をみてくれるので助かる。

りあ そうね。下の子が幼稚園に上がってからは、自分の時間が増えたし。私の練習は、あなたが子どもに夕食を食べさせている間に集中して。楽器を置いてある部屋のドアを閉めた瞬間、「お母さん」の私にシャッターを下ろして、演奏家になる。練習するあの1時間は、自分と向き合えているなと感じるの。子どものことは気になるけれど、同時にほっとしている。

大進 そうだよね。大切な時間だと思います。