「僕らは音楽家なのでよく《お子さんに音楽教育はしていますか?》なんてかれるけど、何もしていないよね」(大進さん)

イエス・ノーをはっきり言えるように

りあ 公演によっては別の人がコンサートマスターを務めて、あなたがその横で弾くことがあるけれど、中継を見た長女は「パパどうしたの? いるところがいつもと違うよ!」って大騒ぎ。父親がコンサートマスターであることを、ちゃんとわかっているの。

大進 とくに教えてもいないのにね。さっき、わが家の教育方針は何かなと考えていたんだけど、ひとことで言うと「自然派」。「この歳にこれができるようになる」というようなプランもなくて、その時々に本人たちがやりたいことをさせてあげたい。あなたは、日本の行事を大切にしているよね。

りあ そう。節分の豆まき、5月の端午の節句に……。ベルリンでもできることはしようと思っているの。日本の童謡も一緒に歌ったりしているし。あとは、海外生活では意思表示を明確にしないと困ることが多いから、子どもたちにはできるようになってほしい。

大進 僕たちは日本よりも海外で暮らしている時間のほうがずっと長くなったけど、いまだにイエス・ノーをはっきり言うのが苦手。(笑)

りあ だからこそ、子どもにはしっかり教えます(笑)。ドイツで暮らしていると、幼稚園などでドイツ語に触れる機会はあるけれど、家の中では基本、日本語。あなたがツアーで日本に行くと、毎回スーツケースに絵本をどっさり持って帰ってきてくれるわよね。ドイツ語の本の読み聞かせはあなたが担当。私は、子どもたちから発音を直されてる。(笑)