樫本大進さん(左)と、出田りあさん(右)撮影=峯岸進治
世界屈指のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で活躍するヴァイオリニストの樫本大進さんと、マリンバ奏者の出田りあさん夫婦。ベルリンの街で子育てをしながら、それぞれ演奏活動を続けている。コロナ下で活動が制限された日々をどのように過ごしていたのだろうか(構成=千葉望 撮影=峯岸進治)

ロックダウンで家族の時間が増えて

――樫本大進さんと出田りあさんが暮らしているベルリンの街は、新型コロナウイルスの感染拡大のため、2020年春以降、厳しいロックダウンが2回行われた。期間中、音楽公演は休演または無観客での開催を余儀なくされる。21年6月、ベルリン・フィルは観客を入れてのコンサートを再開し、8月からは新しいシーズンを迎えている


大進 6月の再開初日、僕は降り番(ステージに乗る当番ではない日)だったから、ベルリン・フィルのサイトで中継を見ようと楽しみにしていたんだけど。子どもたちにご飯を食べさせていたらバタバタしちゃって、最後の3分くらいしか見られなかったね。

りあ ようやく演奏会ができる、と実感がわいてきて。私も7月に一時帰国して、浜松でのリサイタルやギタリストの村治佳織さんとデュオツアーができたことが、本当に嬉しかった。

大進 僕と子どもたちも当初は日本について行く予定だったけれど、感染状況をみて留守番に。あなたがいなかった1週間、食事から寝かしつけまで、しっかりお世話させていただきました。

りあ 長女が5歳で長男が2歳だから、まだまだ手がかかるものね。いつも夫婦で、「私はこれをやるから、あなたはこれを!」って、バトンを落とさないように必死にリレーしているような生活。