巨大地震の被害の備えとして「地震保険」が注目されている(写真提供◎写真AC)
災害や事故、介護や相続など、人生には不測のトラブルや、避けられない困難が訪れます。家族や友人のアドバイスでは解決できない問題も。とはいえ、気軽に聞ける弁護士や税理士が身近にいるとは限りません。専門的な知識を得ることで、冷静な判断で被害を減らしたり、計画的に備えたりすることができます。ジャーナリストとして長年さまざまな現場を取材しているファイナンシャルプランナーの鬼塚眞子さんに、暮らしに役立つ豆知識を聞きました。第3回は「多発する災害に対する備えの保険」です。

前回 「火災保険で誤解しやすい6つのポイント。〈水災〉は補償されないケースも」はこちら

東日本大震災後伸び続ける加入率

地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による被害を補償する地震災害専用の保険です。意外でしょうが、国と民間の保険会社が共同で運営しています。これは巨大地震が発生すると民間の保険会社だけでは対応できないケースも想定されるためです。

損害保険料率算出機構によると2011年、東日本大震災当時、地震保険の付帯率は全国平均で53.7%でしたが、震災の被害の影響からか、契約は毎年伸び続け、2020年度では68.3%にまで進展しています。しかしながら、地震保険は加入して安心というわけではありません。その理由を見ていきましょう。

地震保険は火災保険とセットで加入するのが一般的ですが、たとえば「SBIいきいき少短の地震の保険」は単独で加入できる地震補償保険です。地震保険とも併用できるのが特徴。この保険は、地震・噴火を原因として自宅が被害を受けた場合、国の定める認定基準に基づいて、地方自治体の被害認定を受けたものが補償対象となり、全壊時の保険金額別に、300万円・500万円・600万円・700万円・900万円の5タイプが準備されています。タイプは世帯人数に合わせて選ぶことができます。

地震保険で誤解されがちなのが、地震による火災の扱いです。「さすがに地震が原因で発生した火災は火災保険から支払われるはず」と思っていらっしゃいませんか?

実は、地震が原因の火災であっても地震保険に加入していなければ、自宅が全焼しても火災保険からは支払われないのです。(建物・家屋以外にかかった各種費用に対し、費用保険を火災保険にセットしていれば保険金が支払われる場合もある)