相手に「過分な期待」をしない

普段のわが家は「穏やか」という言葉が一番ぴったりくるくらい喧嘩や言い争いのない家庭です。夫はまったく神経質なところがなく、私にも娘にも声を荒げたことがない。そのせいなのか、娘も幼い頃から駄々をこねることがなくて、私たちのさらに上をいく穏やかな人間に育ちました。

5年ほど前、家族で神奈川県・ズーラシアへ(写真提供:倉田さん)

親の突然の入院騒ぎがあっても、心配というネガティブなことに引っ張られずに、日々を楽しく過ごすことができる楽観的な人間。おかげさまで家庭がいつも平穏です。かと言って私たち夫婦は、お互いと死に別れたとしても、泣き暮らして食べ物も喉を通らない、とはならないでしょう。夫は私が死んだところで「ママ死んじゃったね。生命保険が入ったから二人でハワイでも行こうか?」と娘に言えるような人なので。(笑)

かくいう私も、相手に期待をしないというスタンスは同じ。過去を振り返っても私のつき合っていた男の離職率は高かった(笑)。「仕事辞めたいな〜」と男が言った時「好きにしたらいいんじゃない?」というのが私の返答。「辞めないで!」と泣きつく女がいることで、岩にかじりつく勢いで頑張れることもあるでしょうから、良し悪しですね。

私は子どもに対しても同じく、過分な期待をしない。子どもの宿題やら作文やらを見ていると、成績やテストの点数も大体予想がつきます。それとかけ離れた結果は出てこないので、今以上にやれとは言いません。私は子どもに一流の学歴を勝ち取ってほしいと思ってはいなくて、幸せになってほしいとしか思っていないからです。ただこれもまた良し悪しで、子どもにとって負担にならない親ですが、モチベーションを上げる存在でもないのかもしれません。

そんな私にも、一緒にいると喧嘩が絶えない男がいたし、夫にもかつて「あなたには感謝の念が足りない」と嘆くパートナーがいました。私たちは2人共「誰が相手でも穏やか」という人間ではないので、相性のなせる業だと思っています。お互いに大した要求をしないし、相手に対しての《期待しない度》が一致している。それで波風が立たないのです。

夫のすべてが手放しに好き、というわけではありません。どこか欠点はあっても「この人の左手だけ気に食わない」と言って切り落とすことができないように、性格の一部だけ切り離せないと諦めているだけです。私は「だめんず」の印象があると思いますが、実はそれは若い頃の話で、夫に関してはいい人を引きました。夫は私が何かできないことがあっても不満にも思わないし、文句も言わないけれど、命拾いしたところで大して感謝もしていない(笑)。それを含めて私との相性がいい。夫は明るくて、いい同居人にして、いい生活者、思春期に突入した娘にも愛されている最高の父親なんです。