劇場版「きのう何食べた?」は2021年11月3日(水・祝)より全国東宝系で公開 <写真提供:東宝 (C)2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 (C)よしながふみ/講談社>
弁護士・筧史朗役の西島秀俊とその恋人・矢吹賢二役の内野聖陽の二人が主演を務めるドラマ「きのう何食べた?」。劇場版が公開された人気作だが、もとはテレビ東京(以下、テレ東)の深夜ドラマ枠「ドラマ24」にて放送されたもの。長年テレ東に魅了されてきた社会学者・太田省一さんによると、低視聴率に長く苦しみ、お金や人手を十分に割けなかった同局だが、企画のユニークさや斬新さで勝負する番組づくりを行うことで次第に評価を高めたそう。特に近年では「深夜ドラマ」での飛躍が目覚ましく、そこにもテレ東らしさがあらわれているそうで――。

かつては大人の男性をターゲットにしていた深夜番組

「いまや深夜こそが、本当のゴールデンタイム」。そう思うテレビ好きは多いのではないだろうか? かく言う私もそのひとりだ。そして、いま深夜のテレビをリードするテレビ局は? と聞かれたならば、私なら迷わずテレ東の名を挙げる。

なかでも、「深夜のテレ東」の活況に貢献大なのが、ドラマだろう。深夜ドラマの質と量においてテレ東に勝るテレビ局は、おそらく目下のところないに違いない。

深夜番組の歴史は古い。当初、深夜は一日の仕事を終えた大人の男性、要するにオヤジたちがお酒でも飲みながらゆっくり楽しむ時間帯だった。

だから、大橋巨泉が司会だった『11PM』(日本テレビ系、1965年放送開始)のような、お色気、ギャンブル、ゴルフや釣りをメインにした番組(時には硬派な企画もあったが)が人気だった。