Aさんの文面からは、「こんなにやってあげているのだから、感謝してもらってもいいはず」という本音がにじみ出ています。娘もそれを感じ、「押しつけがましい」「干渉しないで」と思っているのでは。受け入れるのはつらいかもしれないけれど、そういった娘の側の気持ちを、世の母親たちは知っておくべきです。
娘の立場に立つと、お風呂の掃除などされたら、当てつけと感じるはず。さらには、「あなたは家事がなってない」と批判されているように受け取る可能性も。何かしてあげたいときは、「してもいい?」と、まず相手の了解を得るのが鉄則です。
「あの子のことは私が一番わかっている」はNG
また、「翌朝、起きてくる気配がない」というけれど、子どももいて共働きで毎日忙しいのだから、休日に寝坊したいのは当然では? 自分は正しいと思いこんでいると、娘との距離はどんどん離れていきますよ。その結果、娘や息子から「もう、うちに来ないで」と言われたという嘆きを、カウンセリングの場でもよく聞きます。
住宅ローンなど、お金を出す場合は、感謝を期待しないこと。「喜捨」という言葉がありますが、自分の子どもや孫が元気に暮らしているのを遠くから見て、「よかった、私のお金も役に立っている」と思うくらいがちょうどいい。期待しないでいるほうが、案外娘から感謝の気持ちを表してくるものです。
大事なのは、「自分の子どもは自分とは違う人間だ」とハッキリ認識すること。違う人間なのだから、価値観も生き方も、違ってあたりまえ。他者だと認識してこそ、いい関係が生まれます。
逆に「あの子のことは私が一番わかっている」という思い込みはNG。母親からそう言われると、娘は反発します。その点を理解し、母親は自分を戒めたほうがいいと思います。