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災害や事故、介護や相続など、人生には不測のトラブルや、避けられない困難が訪れます。とはいえ、気軽に聞ける弁護士や税理士が身近にいるとは限りません。専門的な知識を得ることで、冷静な判断で被害を減らしたり、計画的に備えたりすることができます。ジャーナリストとして長年さまざまな現場を取材しているファイナンシャルプランナーの鬼塚眞子さんに、暮らしに役立つ豆知識を聞きました。第4回は「介護保険制度について」。40歳から引かれ始める介護保険料、どのように利用できるのでしょうか?

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65歳未満でも介護保険の対象となる条件は

将来、ご自身が介護状態になることを心配される方は多いのではないでしょうか?

でも、どんな状態になれば、「要介護」になるのか、具体的にはよく分らないものですよね?

20年以上前までは、健康上の不安を抱えると親族に身の回りの世話をしてもらう「家族介護」が主流で、介護施設に入れようものなら「親を捨てた」と陰口を叩かれる風潮も少なからずありました。しかし、今は女性の社会進出も増え、負担が増えたことを受けて、社会全体で介護を支えることを目的に設立されたのが「公的介護保険制度」です。

「家族介護」では介護を受ける人の年齢は関係ありませんが、公的介護では、被保険者(介護保険制度の給付の対象者)の年齢を2つに区分しています。

(1) 65歳以上の方(第1号被保険者)と(2) 40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)で、第1号被保険者の方は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに申請が可能。一方第2号被保険者の場合は、末期がんや関節リウマチ、老化などによる16種類の特定疾病が原因で要支援・要介護状態になった場合に申請できるという大きな違いがあります。

【厚労省HPより】
特定疾病については、その範囲を明確にするとともに、介護保険制度における要介護認定の際の運用を容易にする観点から、個別疾病名を列記している。(介護保険法施行令第二条)
 1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
 2. 関節リウマチ
 3. 筋萎縮性側索硬化症
 4. 後縦靱帯骨化症
 5. 骨折を伴う骨粗鬆症
 6. 初老期における認知症
 7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  【パーキンソン病関連疾患】
 8. 脊髄小脳変性症
 9. 脊柱管狭窄症
 10. 早老症
 11. 多系統萎縮症
 12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
 13. 脳血管疾患
 14. 閉塞性動脈硬化症
 15. 慢性閉塞性肺疾患
 16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省 (mhlw.go.jp)