サラ金の歴史には近現代の日本社会が映し出されている

「サラ金」と言うと、何やら恐ろしく、いかがわしいもののように感じる読者もいるかもしれない。しかし、そもそもサラ金とは、戦後日本で最も一般的な労働者とされる「サラリーマン」の金融を意味しており、想像以上に身近な世界で生まれたビジネスである。

日本の経済史上、最も浮沈の激しい業界の一つだったサラ金の歴史には、近現代の日本社会が経験したダイナミックな変化が鮮やかに反映している。

その画角の広がりは、金融技術だけに留まらず、人びとの働き方や消費のあり方、家族関係やジェンダーといった、過去を生きた一人ひとりの身近な労働と生活の世界をも捉えるはずである。

※本稿は、『サラ金の歴史―消費者金融と日本社会』(中公新書)の一部を再編集したものです。


『サラ金の歴史―消費者金融と日本社会 』(著:小島庸平/中公新書)

かつて躍進を遂げたサラ金や消費者金融。私たちが知るその業態は、経済のうねりの中で変化して現在の姿となったものだ。サラ金の歴史を多様な視点から読み解き、日本経済の知られざる一面を照らす。