【60代】この先、何が起こる?

実際に年表を見てみましょう。60代は気力体力が充実している人も多い。配偶者ないしは自分が会社員なら、65歳まで働く選択をする人が多いかもしれません。

ただ、この年代は退職金が入ることを見越して、一番財布の紐が緩みがち。現役時代の感覚のまま暮らし続けると老後破産の原因になります。支出を2~3割減らすことを目標に、家計を改善しましょう。安心感を得るためだけに高額な掛け金を払い続けている保険があれば解約を。若いころに加入したものは、状況が変わり不必要になっていることが多いものです。

銀行から「退職金を元手に投資を始めないか」という営業が増えるのもこの時期。外貨建ての投資信託を「利回りがいい」とすすめられることが多いのですが、私の相談者には結果的に大損をしたという人が何人もいらっしゃいます。

「投資を始めたい」と相談を受けたとき、私は「資産を増やすのは50代まで。60代からは守ってください」とお伝えしています。どうしてもというのならば、営業をうのみにせず、ご自身でもよく勉強してください。大切なのは、資産を取り崩さない仕組みを作ること。たとえば、早いうちにコンパクトなマンションを購入し、家賃収入を得るほうがおすすめです。

私は、「65歳を過ぎても、可能な限り仕事を続けたほうがいい」ともお伝えしていますが、その理由は、年金とも深くかかわっています。現在、年金の受給が始まるのは原則65歳からですが、2022年4月の改正年金法施行後は、75歳まで受給開始を繰り延べできるように。後にすればするほどお得で、1ヵ月先延ばしにするごとに年金受給額は0.7%増。70歳からにすると年金額は42%、75歳だと84%も上積みすることができます。

70歳まで働くことができればベストですが、この年代で体力や気力を5年間保つのは難しい。派遣や契約社員でもパートでも、まずは「68歳」を目指してみましょう。

69歳は自宅を住み替えるラストチャンス。年齢とともに家の処分や引っ越しの負担は大きくなりますから、この歳までにすませたいところです。自宅をリフォームする場合は、お金をかけすぎないように。高額な工事をしたのにわずか数年で施設に入った相談者を何人も見てきました。