イラスト:カワムラナツミ
日本人の平均寿命は延び続け、老後の時間は長くなるいっぽう。収入が減る60歳以降で想定しておきたい、お金の出やすいタイミングとは? 「老後問題解決コンサルタント」として、高齢者が考えるべき”お金”の問題にアドバイスしている横手彰太さんにお話をうかがいました。(構成=吉川明子 イラスト=カワムラナツミ)

不測の出来事にも傾向がある

私は不動産会社の社員です。これまで1000人以上の物件オーナーから、相続にまつわる相談を受けてきました。相続相談とは、すなわちお金の相談。話を聞くうち、その人にあったお金の使い方や残し方など、広い視点からアドバイスしなければ問題の解決には至らないことに気づきました。

そこで人生後半に必ず訪れるといっていい認知症や介護に関する知識も得て、今は「老後問題解決コンサルタント」としても活動しています。

私は相談者にアドバイスする際、各種研究結果や調査データなどをもとに、老後に何が起こるかを予測した年表を提示しています。職歴や家族構成などで個人差はあるものの、定年退職、年金受給、病気や認知症の発症などは多くの人に同様に降りかかってくる出来事です。漠然とした不安を持つだけではお金の対策は難しい。

病気やケガのような不測の出来事もあるとはいえ、「統計上、このくらいの年齢でこのような問題が起こる」という傾向は、明らかに存在します。それを知っておけば、逆算して準備することが可能だと思いませんか。年表には、あえてマイナスな出来事を取り上げていますが、被害を回避したり最小限に留めることができれば、老後はけっして暗くありません。