しわ寄せが「老後の資金」に押し寄せるワケ

仮に、35歳で子どもが生まれたとして、逆算してみましょう。

60歳…定年退職

57歳…子どもが大学を卒業

55歳…役職定年で給与が下がる

53~57歳…子どもが大学に入学し、教育資金がピーク

40歳…35年の住宅ローンを組む

だいたいですが、それぞれ次のような金額が必要になります。

住宅資金 3000万円

教育資金 1000万円(私立文系のケース、一人の金額)

老後資金 2000万円

合計6000万円

これが35 歳ぐらいから60歳の25年間に集中してしまうのです。単純計算で年間240万円(月額約20万円)を貯めなければなりません。生活しているわけですから、もちろん生活費は別にかかります。高額所得者でない限り、ほとんど不可能な数字だと思いませんか。

『運用はいっさい無し! 60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(著:長尾義弘/徳間書店)

昭和のころは25歳から60歳までの35年間でしたから、年間約171万円(月額約14万円)です。しかも、景気がよくて給与が右肩上がりだった時期もありました。

昨今は晩婚化に加え、給与も上昇していないため、教育資金さえも貯めることが難しいと言えます。2000年以降、名目賃金は下がり続けています。

晩婚化・晩産化によって定年までの期間が短くなり、三大支出が同時期に重なってしまうわけです。住宅ローンと教育資金は先送りできないので、つい老後資金にしわ寄せがいきがちです。

人の平均寿命は着々と延びています。なおさらお先真っ暗だと落ち込まないでくださいね。寿命が延びているぶん、健康でいられる時間も長くなっています。ここは発想を転換し、長寿を大いに利用しようではありませんか。

現役時代に老後資金を貯めるのがベストですが、ない袖は振れません。どうしてもムリな場合は、老後資金は定年後に貯めるのです。