20代で結婚・出産していた時代との相違
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、1992年の平均初婚年齢は男性が28.3歳、女性が25.7 歳でした。
それが2015年の調査では、男性30.7歳、女性29.1歳となっています。厚生労働省の「人口動態統計」で第一子を出産した母親の年齢を比べると、1985年は26.7歳でしたが、2019年は30.7歳です。
かつては20代で結婚・出産が一般的なパターンでした。住宅資金→教育資金→老後資金と、大きな支出は順番にクリアしていけたのです。ダブったとしても短い期間ですみ、なんとか乗り越えられました。
たとえば、30歳で住宅を購入し、30年間のローンを組むと60歳には完済されます。教育資金がもっともかかるのは、子どもが大学生になるころです。とはいえ、ちょうど40代後半で、収入ももっとも多くなる時期です。子どもが独立し、家計がグッと楽になるのが50代前半。
ここから老後の準備を始めて60歳で定年退職すれば、それまでに貯めたお金と退職金を合わせて老後資金がまかなえたのです。
ところが、現在は事情が違います。
結婚が30歳前後となれば、出産は30代前半、住宅の購入も40代前半になるでしょう。住宅ローンは70歳近くまでずれこみます。子どもの大学入学は50代です。
50代の半ばには収入のピークが過ぎ、役職定年などでむしろ減少に転じます。収入が減る時期に教育資金がピークを迎え、住宅ローンはまだ半分も残っている状態です。