「老後資金2000万円不足」どころか、今は黒字って本当?(写真提供:写真AC)
全国東映系で公開の映画『老後の資金がありません!』。パート先をリストラされたり、夫の会社が倒産したりする中、お金の問題を解決するべく天海祐希さん演じる主婦の後藤篤子が東奔西走する作品ですが、実際、19年ごろに「老後資金2000万円不足」という報道をよく見聞きした方は多いのでは。しかしファイナンシャルプランナーである長尾義弘さんは、コロナの流行を経た今同じデータを見ると不足どころか黒字の状態にあり「大事なのは金額ではなく、収支のバランス」と主張します。

晩婚化の今「50代」に人生の三大支出が折り重なる

世の人々は、何のためにお金を貯めるのでしょうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2020年)によると、第1位が「老後の生活資金に充てるため」(70.0%)、第2位は「病気や不時の災害への備え」(60.9%)、第3位は「子どもの教育資金」(30.4%)です。

ちなみに、1985年の第1位は「病気や不時の災害」(77.2%)、第2位は「子どもの教育資金」(43.0%)、第3位が「老後の生活資金」(42.5%)でした。この変化は長寿社会になり、長生きが大きなリスクになったからでしょう。

それほど心配な「老後資金」。しかし、現実はなかなか貯められていません。

「目先のことで手一杯。老後資金を貯めるなんて、とうていムリ!」

50代の人が、こう叫びたくなる気持ちはよくわかります。なぜなら、50代は人生の三大支出が折り重なっている時期だからです。

人生の三大支出とは、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」を指します。これら三つが一時期に重なると、家計は厳しくなります。共働きで少し余裕があったとしても、やりくりにかなり苦労するでしょう。

最近、こうした傾向に拍車がかかっています。その一因として晩婚化の影響があります。