「老後資金2000万円不足」にあまり意味はない

では、どのくらい貯めればいいのでしょう。

「老後資金は2000万円必要」だと、よく言われます。2019年に「老後資金が2000万円不足する」と話題になったことがきっかけでした。

この数字は、家計調査報告(2017年)「高齢夫婦無職者世帯」のデータに基づいています。年金などの収入が月額20万9198円、生活費などの支出が26万3717円。差額の5.5万円が毎月の赤字です。この状態で95歳まで生きるとしたら、約2000万円が必要になるという計算です。

老後資金2000万円、本当に必要?(『運用はいっさい無し! 60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』より)

ところが、最新(2020年)のデータを見ると、なんと毎月約1000円の黒字になっているではありませんか!

新型コロナの影響で外出を自粛したため支出が減ったのでしょうか。また、一人10万円の特別定額給付が支給されたことによって収入が増えたこともあるのでしょうが、2020年の数字によれば、老後資金は不足しないことになります。

老後資金、実は必要ない?(『運用はいっさい無し! 60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』より)

このように、家計調査報告は毎年少しずつ変わっています。したがって、老後資金2000万円は、あまり意味のない数字だとわかると思います。