何より、助産師は国家資格です。モデルや芸能界の仕事は先が不安定な職業ですが、助産師資格を取れば安定した収入につながるし、いくつになっても働くことができます。「頑張って働けば、自分ひとりでも一生稼いでいける」という安心感がありますからね。離婚を決断できたのも、そんな思いが陰にあったからかもしれません。

もちろん、助産師の資格を取るまでには関門がたくさんあります。まず看護学校に通って看護師資格を取った後、さらに助産師資格を取るための専門学校に1年間通う必要がある。現在、私は4年制の看護学校の3年生です。

毎朝5時半に起きて、長男のお弁当や子どもたちの朝食を作り、家事を済ませた後に末っ子を保育園に送ってから自分も学校に行き、夕方5時頃まで授業を受ける。子育てと学業の両立は確かに大変だと感じるときもありますが、好きな勉強をするのは楽しいし、子どもたちも進んで家事を分担してくれているので、途中であきらめるつもりはありません。

私立の看護学校だと卒業するまでに何百万円もかかります。でも、今の私にそんな余裕はないので、年間の学費が20万円程度で済む公立の看護学校を探しました。しかも、この学校は、テストでいい成績を取って特待生になると学費が2割免除されるんですよ。毎回テストを頑張って特待生になれたので、学費もさらに安くなりました。

 

お金より「手間」や「工夫」の大切さに気づいた

学校に通って看護の世界を見つめ、またシングルマザーという立場になったことで、お金に対する私の価値観も大きく変わったと思います。無駄なものにはなるべくお金をかけない。お金を使うときには、「自分にとって何が最も大切か」と常に優先順位を考えるようになりました。

都心のマンションに住んでモデルの仕事をしていたときは、お洋服やアクセサリーを買うのも好きでした。ブランドの展示会で着させていただいた高価な洋服を、その場で買い取ったことも。でも、看護師の仕事には、アクセサリーは必要ありません。近頃はピアスも時計もつけないし、自分のための装飾品はまったく買わなくなりました。

ママ友たちとのランチにも行かなくなりましたね。以前は、予約がなかなか取れない三ツ星レストランの7000円のランチにも行きましたけど、今は学校の昼休みに、ボリューム満点の750円のランチに行くくらい(笑)。でも、今の私はそれで十分満足なんですよ。

親子で遊んだり旅行に出かけたりするときも、なるべくお金を使わずに楽しめることはないか、工夫をするようになりました。5人の子どもをワゴン車に乗せて、夏休みの1ヵ月間、四国や九州を旅して回ったことも。夜は「道の駅」で車中泊をし、洗濯ものは旅先のコインランドリーで洗う。親子でサバイバルみたいな旅でしたけど(笑)、子どもたちにとっては、テーマパークなどで遊ぶよりもはるかに楽しく、いい思い出になったみたいです。

お金より、親が手間や時間をかけて接するほうが、子どもたちにはよっぽど嬉しいんだなって。簡単にお金を使えなくなったことで、逆に大切なことに気づかされたような気がします。