「正代は勝てない」と確信した瞬間

ところで、私のようなテレビ桟敷は、取り組み以外の部分は映してもらえないと状況がわからない。11勝の貴景勝と9勝の正代のどちらが勝つか、取組前の表情で予想しようと思っていた。先場所は大関対決がなく、二人ともショックだったのではないかと思い、14日目の熱戦を期待した。          

しかし、照ノ富士が土俵下に座るために入ってきた様子がテレビ画面に映った時に、既に座っている正代を見て「勝てない」と確信した。正代は、両手の指先を見る仕草をしていたのである。これは私だけのジンクスなのだが、テレビで正代のこの仕草を見た時、正代は勝ったことがないのである。この仕草を分かりやすく表現すると、爪にお洒落な色のネイルをしている人が、「今日塗り直そうかな」とのんびりと爪を見ている仕草である。

一方、貴景勝は吹っ切れたような顔つきで勝負に臨み、正代を突き出した後にあげたままの左手に「あなたには勝てる」という自信すら感じた。正代は、強い時はもの凄く強いのだから、今後の大関戦に期待したい。

幕内優勝は決まったとはいえ、千秋楽も見どころ満載だ。期待するファンを何度も裏切ってきた関脇・御嶽海が11勝をあげられるか、連日頑張っている宇良も11勝になるかなど。