64歳で始めた合気道を通じ、武田さんが気づいたこととは(写真:本社写真部)
10年にわたり、少年院で「命」にまつわる講演を行ってきたお笑いコンビTIMのゴルゴ松本さんが、俳優でタレントの武田鉄矢さんと対談。言葉にこだわり、人の心に寄り添ってきた二人が、変わってしまった日常を生き抜くヒントについて語り合います。今回は、武田さんが学んでいるという合気道について。合気道を通じ、呼吸について気づきがあったという武田さんですが、実は人生すべてに通ずる「極意」を見出したいと考えているそうで――。

先生を定年して生徒に戻ろうと

ゴルゴ 武田さんは合気道をやられているんですよね。

武田 はい。「金八先生」シリーズが定年の齢で終了してから、「もう一回生徒に戻るのはどうだろう」と思っていました。それで64歳から始めました。

ゴルゴ 64歳からですか! 習い事はいろいろある中で、なぜ合気道を選ばれたのですか?

武田 きっかけは内田樹さんの本でした。内田さんは哲学者で、合気道も七段の腕前。彼の著作の中に「敵が現れた瞬間いかに愛するか。それが合気道である」と書かれていました。この言葉には不思議と引きつけられるものがあったのですが、意味はまったく理解できなかったんです。

「敵を愛する」なんて、そんな矛盾したこと、あるはずがないですよね。この言葉の意味を理解するために、飛び込んでみようと思いました。