新幹線の色と顔を知る
あの新幹線は、やまびこであり、またの名を、つばさ、であったのか。
わたしは乗るべき新幹線を飛び降りたらしい。
ふう、とため息をついて、「いけない、ため息はつかないんだ」と吸い込んだ。
駅員さんに詳しく聞くと、1時間以上は、山形行きは来ないようだ。
次は間違えないように、連結部分の前の方に移動してホームのベンチに腰掛けた。
ほとんど人はいないが、ひっきりなしに新幹線がくる。はやぶさとか、なすのとか、たにがわとか、こんなにいっぱい新幹線をみるのは初めてだ。
色とか顔とか違うんだなぁ、と知った。
ナミさんに報告LINE。
「間違えた、と思った新幹線が間違えてなくて、とにかく1時間遅れて着きます。ごめんなさい」
「私もやってしまうんですよ〜、考え事してたりすると。情け無くなります」
「はい、わたしも。本当に(涙)」
「気をつけて来てくださいね〜」
つい、長めのLINEのやりとり。こんな事でもなければなかった心の通じ合い。
思い返せば、こんな事はよくあるのだ。免許の書き換えで鮫洲に行こうと着いた先は横浜だったり、バスツアーの乗るバスは大体間違えるし、こちらですと言われるがままついていくと知らない団体さんだったり、知り合いだと思って話していたら初めての人だったり、居酒屋で違う人の靴をはいてみたり、美容院でごちそうさまでした、と言ってみたり、コンビニでお金を払って買ったものをおいてきたり、自分の車は大体見つけられないし、ヤバいのだ。