写真提供◎青木さん(以下すべて)

 

青木さやかさんの好評連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」などが話題になりました。今回は「新幹線を乗り間違えた人として」です。

前回「私が怒っていた3つの理由。お世話になってきたけれど、肺がんで人生を振り返り、怒りを手放した」はこちら

10号車の次は、壁だった

東京駅18時発、山形行きのつばさ153号に飛び乗った。

舞台の旅公演、明日は山形、今夜は前乗り、というわけだ。
準備してもらったチケットは11号車。ぎりぎりにホームでゆで卵を買っていたので、駅員さんに、乗りまーす!と手を挙げて急いで乗ったのは8号車だった。
新幹線が動き始めてから、ゆっくりと車内を歩いて11号車まで向かう。
10号車をこえて、次だ。自動ドアがあいて驚いた。

壁だよ!

この新幹線は10号車までしかないじゃない!
東京駅できちんと確認しなかったのだろうか。
ふとみると、仙台行き、やまびこと書いてある。やってしまった。
すると、車内アナウンスから聞こえてくるのは
「まもなく上野」という案内だった。