『婦人公論』12月28日・1月4日合併特大号の表紙に登場した美輪明宏さん

必ず春は訪れる

この2年近く、コロナの影響もあって、私も家で過ごしたり近所を散歩したりする時間が増えました。すると今まで以上に、庭の木々や道端の植物に目が行くように。

わが家の庭にはレモンの木があり、今も80個以上実をつけています。毎年、収穫はせず、自然にまかせたまま。とくに手入れもせず肥料も何もやらないのにそれだけ実をつけるのは、きっと土がいいからでしょう。落ち葉をやっかいものとは思わずそのままにし、土に戻すようにしているからかもしれません。

秋には緑色だったレモンの実が、冬になると黄色く色づきます。そうした変化を見ていると、すべては流れる水の如く移り変わっていくのが世の常であり、自然の理なのだと、つくづく感じます。

今はすでに落葉樹は葉を落とし、なんとなく寂しい雰囲気です。でも、必ず春は訪れます。

冬の間に椿が咲き始め、やがて梅の花が開き、吉野桜や八重桜へとバトンタッチする。夏になれば、サルスベリが強い日差しに負けず力強く咲いてくれるはずです。

私は毎朝、窓を開けて風を感じながら、庭の植物に「おはよう。どうもありがとう。今日もよろしくね」と話しかけ、「悪霊・死霊・生霊・怨霊・病魔退散! お願いしますよ」と唱えます。

万物に命があります。そして私たちは、それらすべての命によって生かされているのです。そのことを忘れずに、感謝の念を持って、2022年を迎えていただければと思います。

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