「食べる」ことに恐怖心が芽生えることも

ストレスが自律神経に与える影響が大きくなると、慢性的に胃の不調をもたらすことにもつながるといいます。

「胃の具合が悪いと言って来院し、検査をしてもこれといった病気が見つからない、というケースは少なくありません。病気ではないのに胃の不調が続くようなら、機能性ディスペプシアの可能性があります」

機能性ディスペプシアという病名は、あまり聞き慣れませんが、近年増えているそうです。

「食事を始めてすぐにお腹いっぱいになってしまう早期膨満感や、食後の胃もたれ、胃痛、みぞおちが焼けるような感じなどの症状が半年以上続き、週に2、3度以上の頻度で起こる場合、医学的に機能性ディスペプシアと診断します」

胃の不調が頻繁に起こると、「食べる」ことに恐怖心が芽生えたり、気分の落ち込みをともなうこともあるそう。

「治療は内服薬で胃の不調を改善するとともに、不安やストレスを取り除く生活習慣についてアドバイス。ときには、心療内科的治療を勧めることもあります」

胃の調子を崩さないためには、ストレスを溜め込まないこともポイントです。

次ページからは、胃の働きを整える生活習慣について詳しく紹介します。暴飲暴食を控えるのはもちろん、自律神経のバランスを保つ生活習慣を心がけて、楽しい年末年始を過ごしましょう。

機能性ディスペプシアの主な症状

●すぐにお腹いっぱいになる・食欲不振

通常、胃に食べ物が入ると胃の上部が膨らみ、食べ物を溜めておくことができる。しかし、胃の機能が低下すると十分に膨らまないため、食べ物を溜めておけず、すぐにお腹いっぱいになる。

 

●胃もたれ・胃が重い

食べ物が胃に入るとぜん動運動が起こり、胃から十二指腸へと食べ物が送られるが、ぜん動運動がにぶくなると胃もたれなどの症状を起こす。

 

●みぞおちの痛み、みぞおちが焼けるような感じ

胃の粘膜が胃酸に対して敏感になり、みぞおちのあたりが痛んだり、熱く感じたりする。