離婚前の苗字をそのまま使わせてくれる学校も

ところで、離婚後、「孫や子どもの苗字が変わったら学校や周囲に知られて、嫌な思いをするのではないか」ということから、不本意ながら、婚姻時の苗字のままにされる方もいらっしゃいます。

そんな方は苗字を決定する前に、一度、学校などに相談されてはいかがでしょうか?

学校によるかもしれませんが、今は、離婚家庭も多いため、学校などでは離婚後、母や父の婚姻前の苗字に変わった児童や生徒への教育的配慮から、通称(婚姻時の苗字)を使わせてくれます。今までと同じように、学校側が児童や生徒を呼ぶときも、卒業証書授与の時も婚姻時の苗字で呼んでくれます。ただし、書類や卒業証書、国家資格などは戸籍氏名が使われます。

実は筆者も離婚経験者で、私も子どもも私の婚姻前の苗字に変わりましたが、子どもたちは学校の理解を得て、婚姻時の苗字のままで大学卒業まで過すことができました。就職はさすがに戸籍名を使用するため、社会人になってからのうちの子どもは戸籍通りの私の婚姻前の苗字を名乗るようになりました。中学時代の友人と子どもが一緒にいるときに、偶然、同僚から今の苗字で声をかけられたことがあります。きょとんとしている中学時代の友人に、15年も前から苗字が違っていたと伝えると、すごく驚かれたそうです。

離婚以外でも、子どもが苗字を変えたいと思った時の変更手続きもあります。「やむを得ない事情により」15歳以上であれば本人が家庭裁判所に申請することができます。15歳以下は親などの法定代理人に代理申請をしてもらうことが必要となります。裁判所のHPでは、「やむを得ない事情とは、氏の変更をしないと社会生活において著しい支障を来たす場合をいう」とされています。

離婚時の氏の変更同様、費用は収入印紙代800円分と連絡用の郵便切手が申し立てに必要ですが、お住まいの所轄の家庭裁判所に手続きなどを問い合わせてみてください。