福島県いわき市で行われた第3局。盤面を見つめる藤井三冠。口元には珍しく髭が(写真提供◎読売新聞社)
第34期竜王戦(主催・読売新聞社、日本将棋連盟、特別協賛・野村ホールディングス)七番勝負に4連勝し、19歳3ヵ月で史上最年少四冠を達成した藤井聡太さん。激闘の8日間を追ったカメラマンが新竜王の素顔を語ります

羽生善治さんの姿が重なった

レンズ越しに藤井さんと目が合った瞬間、眼光の鋭さと気迫に圧倒されるとともに、2020年に豊島将之さんと竜王位を争った羽生善治さんの姿が重なりました。お二人ともどんなに苦しい局面でも、最後まで勝つ道を探し、諦めない。

私が初めて藤井さんを撮影したのは17年。公式戦29連勝がかかった対局で、大勢の報道陣が詰めかけるなか、まだあどけなさの残る藤井さんは、すーっと自分の席に座り、落ち着いて対局を進め、見事に勝利を収めました。16年に最年少14歳2ヵ月でプロデビューして以降、数々の最年少記録を塗り替えてきた藤井さん。20年には棋聖戦を制し、初めてタイトルを獲得します。