イラスト:若林夏
老後の不安に備えて、潔い倹約生活を続けている小笠原洋子さん。ケチを楽しむことで、心身ともにストレスから解放されていると言います(撮影=本社写真部 イラスト=若林夏)

<前編よりつづく

部屋の広がりは心の広がり

いまの住まいに移るときに、これが最後の引っ越しと考え、家具や服などをあれこれ処分しました。そこで買わない、持たない暮らしにシフトしたことで、片づけの悩みとは無縁。

お気に入りの小物や海外の民芸品をさりげなく飾る程度で、台所も必要最低限の調理道具や食器のみ。暮らし自体をさっぱりとさせたので、とても快適です。身体と心、両方の栄養を補充しています。

「ケチ道」に徹すると、健康さえ維持していれば、「貧しさ」すら前向きに活用して、「なるべく物を買わないぞ」「なるべく物を置かないようにしよう」などと、暮らしの工夫を楽しむことができる。思わず、「部屋の広がりは心の広がり」なんていうフレーズを思いついたり、心も軽やかになるんです。

かくいう私は、たくわえに余裕があるわけではありません。ただ、備えることに心血を注ぎ、よくないと思う習慣があれば、それを正す方法を考え、実行してみることを喜びとしているわけです。

老いの不安はつきませんが、いっそ、毎日あらんかぎりの知恵を絞り出すことを、「老後の仕事」として楽しんでみてはいかがでしょうか。老後に備える準備は、いつ始めても遅くありません。