変化を自然体で受け止める
荻野 そんな先生にぜひ伺いたいのが、老後に向けて自分の健康をどう維持していけばいいのかということです。
常喜 まず大事なのは、お金と同じで無理をしないことですね。
大江 私の周囲にも、「健康のためなら死んでもいい」くらいの強迫観念で運動や食事に気を使っている人がいて、端から見てちょっと心配になります。
常喜 人と比べない、変化を自然体で受け止めることも重要なポイントです。年を取って不調がどこにどう表れるかは人それぞれ。確実なのは、誰でもいつかはどこかしら悪くなるということ。
荻野 老眼は進むし、変形性股関節症で漢方の痛み止めも欠かせません。しかしローマの哲学者キケロが言うように、老齢になると体が動かなくなると嘆く人がいるが、「若い頃に牡牛や象のような力がほしいと思ったことがない」のと同様、若者の体力をほしいとは思わないというのも真実なわけで。老いにともなう不調にいちいち心を揺らさず、相対的に自分の体調と向き合っていく。
常喜 そのために必須なのが、健康診断で今の健康状態を把握しておくことです。生活習慣病の早期発見のためにも、50代になったら自治体や職場の定期健診を年1回受けていただきたいですね。
さらにがん検診で胃がん・大腸がん・肺がん、女性の場合は乳がんと子宮がん、男性は前立腺がんのチェックも定期的に受けることで、早期発見と早期治療につながります。