「私が最近皆さんにお伝えしているのが、老後の支出と収入を《三分法》でとらえようという考え方です。」(大江さん)

年齢を重ねてからの「働き方」

荻野 私が専門とする文学研究は、本を読んだり調べ物をすることはお金になりません。学会誌に書いても原稿料はタダ(笑)。ほかにも、退職したら若い頃にやり残したラテン語もブラッシュアップしたいと思っていて。

それが私の自己実現とすると、心おきなく楽しむためには小説やエッセイをこつこつ書き続ける、と。ふーむ、なかなかいい老後の姿が見えてきました。

常喜 年齢を重ねてからの働き方として、後進に道を譲るという考え方もあると思います。私たち医者の仕事は技術職という面も強くて、スポーツ選手と同じように体力や気力の限界が来たら引退ということも考えなければなりません。

私の場合、もともと胃カメラや大腸カメラを扱う内視鏡検査が専門でしたが、細かい画像を読み取り診断を下す仕事からは引退しようと決めました。

大江 開業医のお仕事は続けながら、ということですね。

常喜 今後は、地域の患者さんのさまざまなお悩みに対応できる「健康よろず相談所」としての医院を目指したいと思っています。