祖父が偉大だろうが、相撲は本人の問題

見ごたえナンバー3は、今後の期待を込めて新入幕の前頭18枚目(幕尻)・王鵬の相撲。

前頭17枚目・魁聖をおっつけの強さで押し出した。王鵬は取組後のインタビューで「人(観客)の数が多くてめちゃくちゃ緊張した」と答えていたが、仕切りの時も取組も見ていてそれは感じられず、大物の感じがあった。

王鵬は、祖父が第48代横綱・大鵬、父親が闘志のある相撲を取った貴闘力(関脇)で、既に注目を集めているが、祖父が偉大だろうが、相撲は本人の問題だ。王鵬は、それをプレッシャーにせず、考えながら、ひたむきに相撲を取る姿に好感がもてる。

私は王鵬が四股名を本名の「納谷」から「王鵬」にしたとき、1970年代の終わりから超人気だったピンク・レディが踊りながら歌う「UFO」を思い出した。それ以来、王鵬が土俵に上がると、ピンク・レディーが、手を後頭部の後ろにかざし、「ユーフォー」と言ってポーズをとるのを真似て、「オーホー」と言って同じポーズをして応援している。分からない人は誰かに聞くか、YouTubeでピンク・レディの「UFO」を見てほしい。

しかし、幕内の先輩力士は手加減をしてくれない。注目の力士となるとよけい頑張る先輩力士もいるかもしれない。私はかつて角界のプリンスと呼ばれた大関・貴ノ花(第65代横綱・貴乃花と第66代横綱・若乃花の父親)のファンだったが、貴ノ花が大関になる前から、貴ノ花が対戦相手だと闘志を燃やして頑張る力士がいて困ったものだと思っていた。
そのため、貴ノ花が対戦相手でもいつもと同じ相撲を取り、しかも負ける豊山(最高位が小結)が性格が良い人だと思い尊敬していた。