「突然ふりかかってくる病というものは、人生最大の試練であり苦行といえるでしょう(写真提供:写真AC)

病気になっても、人生の修行ととらえて向き合う

昔に比べて世の中は物質的に豊かになり、寿命が延びました。それにともなってまた新たな悩みも生まれてきた。とくに自身の健康のこと、お金のことは多くの人にとっての悩みの種でしょう。さきほどお話しした、欲しくても得られない「求不得苦」、思い通りにならない「五蘊盛苦」の観点から、どうしたら人はとらわれずに済むのか、さらに人生を楽しめるようになるのかを考えてみましょう。

いつまでも元気で長生きすることは、非常にめでたいことですし、私もそうなりたいと思います。しかし、この世に生まれ、老い、病になり、あの世に旅立つ「生老病死」は、人間の努力では、どうにもならないことです。なかでも、ある日、突然ふりかかってくる病というものは、人生最大の試練であり苦行といえるでしょう。

年を重ねたら、誰しも老いるし、病気に見舞われることもあります。これは人として生まれたからには定め。ですから、寄る年波を受け入れ、もし病気になっても、人生の修行ととらえて向き合う。

とはいえ、健康を維持しようと努力することはもちろん大事です。私も50歳をすぎてから体を気遣うようになりました。お坊さんの生活は健康にいいと言われますが、私の場合は30代前半まで過酷な行に邁進し、体に無理ばかりしてきました。

私なりの結論として、いろんなものをまんべんなく、腹七、八分目食べるのが一番体にいいのではないかと思います。睡眠、入浴、食事、この3つに加えて、あまり思い悩まない。これで私の健康は保たれています。

どんなに健康に留意しても、人はやがて死にます。それが宿命。

ですから、自分は何歳まで生きられるのか、といくら考えても仕方ないのです。天にお任せして、お迎えがきたときには、「はい、さようなら」とこの世を旅立つのが自然なこと。死は逃れられないからこそ、それを憂えるのではなく、限られた時間を明るく楽しく生きていかないともったいないと思います。