心と内面は最期まで磨くことができる
特に定年退職や子どもの巣立ちのあとは、生活が乱れる人が少なくないようです。私は、周りに人がいないときこそ、より自分を律するように心がけ、テレビを見るときも寝転がったりせず姿勢を正して座ります。一人のときでも行動を慎むことを「慎独(しんどく)」と言います。
大変そう、と思うかもしれませんが、むしろダラダラ過ごすよりもストレスがたまりませんし、裏表のない自分に自信がつきます。
とはいえ、誰しも「怠け癖」と「努力癖」があり、ほとんどの人は怠け癖に向かってしまうもの。できるだけ心の方向を努力癖に向けるように意識しましょう。頑張りすぎると苦しくなるので、少し努力癖に寄せる程度に。次第に努力癖が身についてきます。
もう1つ、日常で心がけていただきたいのは、家事でも報酬を得る仕事でも、自分が与えられた役割は心を込めて丁寧に行うこと。イヤイヤやっていると雑になりますし、気持ちが暗くなる。日々の役割を漫然とこなすのではなく、全力で取り組むぐらいの気持ちで行ったほうが楽しいですよ。
たとえ同じことの繰り返しでも、ただ続けるだけでなく、「昨日よりは今日」と、1日1ミリでも進化しようという向上心を持って工夫をする。その積み重ねでスキルが伸び、自分の器も少しずつ大きくなっていくのです。
最後に、私が常に自分に言い聞かせている言葉をみなさんに届けます。「謙虚であれ、素直であれ」。この2つを失うと、人の指摘を受け入れず、苦言に耳を傾けなくなる。「私なりに頑張っている」という自己満足で終わってしまい、ステップアップできなくなります。
肉体は年とともに衰えますが、内面は最期まで磨くことができるのです。心は石のようなもの。どんな石でも磨けば光る。内面が輝いている人のところには、「また会いたいな」と人が寄ってきて、ポジティブな縁がつながっていきます。思い悩まず、明るく前を向いて、自分を輝かせましょう。