みうらさんによって失われし記憶が蘇った

まあ、ぶっちゃけた話、ジャガーの“設定”はほとんどみうらさんが作ったようなものだ。いや、みうらさんによって失われし記憶が蘇ったというほうが正しいかもしれない。

そしてそれはいつしか世間にも広まっていき、「ジャガーさんいますか?」と洋裁店に飛び込みで聞きに来たファンに対して、「今、宇宙に行ってるからいないよ」と、従業員の木戸さんたちも答えるようになって、ファンもそれに納得してすごすご退散するようになった。

そのやり取りを店の奥で聞いていてジャガーは笑ってしまいそうになる。

また、みうらさんと名古屋のライブに出たり、ゲストで対バンなんかをしたのもいい思い出だ。彼は驚きながら言う。

「ジャガーさんがすごいのは、対バンなのにカラオケというところ。それがすごく新しい」

今でこそ対バンでカラオケは普通だと思うのだけど、バンドブーム当時にそれはまだあり得なかったようなのだ。

しかもその日、恥ずかしながらジャガーはすっかり歌詞を忘れてしまい、適当にハミングしてステージを終わらせた。そしてそのままハミングしながら楽屋に戻り、忘れていた箇所が気になるあまりに、出番前に覚えるために壁に貼っておいた歌詞カードを読みながらまた歌い始めた。すると、みうらさんはそれを見てまた同じことを言う。

「ステージ上ではハミングだったのに、それが終わって楽屋からちゃんと歌うとは新しい!」

また、ある時はこんなことも言われた。

「バンドメンバーをアルバイトニュースで募集してましたよね? それも新しい。やっぱり地球上のバンドブームと違って、社長という仮の姿だからこそできた“上がり成り”ですね。日本のバンド形態よりもはるかに進んでる」