いちいちジャガーのことを“新しい”と
何も意識せずやっていることなのに、みうらさんはいちいちジャガーのことを“新しい”と言う。なんだかそれがおかしかった。すると、今度は大真面目な顔をして、
「すべて新しいがゆえに、地球上では“変”って思われてるかもしれないですけど、ジャガーさんは先のことをやっているんです。先んじているものはやっぱりみんな理解不可能なんです」
と、みうらさんは語り出す。
「ローリング・ストーンズもそうですけど、一瞬不真面目に見えるものって絶対真面目だと僕は思ってるし、逆に真面目に見えるものは絶対不真面目なんだと思うんです。世の中って多分、逆転している。不真面目に見えるものって、すごく真面目にできてるんですよ」
そして彼はこう聞いてきた。
「ジャガーさんの歌い方って、ボブ・ディランですよね?」
「違いますよ。ボブが真似したんじゃないですか?」
そう返すと、みうらさんはまた喜んだ。
「ロックですね! ちなみに以前、JAGUAR星人は岩石って言ってましたけど、ロックとかけてるんですか?」
「違いますね。ただ岩がゴロゴロある感じです」
「これはシュールレアリズムを感じますね〜! なんかダリとかの絵が見えてきます。荒野の中のストーンサークルみたいな。ジャガーさんの言葉は本当に絵が見えてきますね。きっと画家のお父様の血筋なんでしょうね」
みうらさんは、ジャガーといると次から次へとたくさん質問が湧いてくるのだそうだ。質問に対していつも想定を外してくるのが面白いらしく、話の転がし方が天才的だと言われた。いわく、漫才としては名コンビらしい。
※本稿は、『ジャガー自伝』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。
『ジャガー自伝 みんな元気かぁ~~い?』(著:ジャガー/イースト・プレス)
何よりも千葉を愛し、誰よりも千葉に愛された男の一生。なんでも自分で作ってみる。やってみればできないことなどなにもない。大丈夫だよ、といつも歌っていた。「洋服直し村上」のおばちゃんたちを従え、衣装もスタジオも住居も自ら作り、音楽も録音もライブもCD制作もPVもTV番組も、すべてDIYでやっていた男の人生は千葉の戦後史そのものだ!