JAGUAR星人に初めてコンタクトをとった人間

ありがたいことに、その後、みうらさんはジャガーがアルバムを出すたびに、「宝島」などでページを取ってインタビューしてくれた。

20歳の頃のジャガーさん。だんだんワイルドに(写真『ジャガー自伝』より)

ある日、「宝島」の社長室みたいな豪華な部屋に通されたジャガーは、「偉そうにしてくださいね」と、みうらさんに言われ、社長の机の上に足を載せて写真撮影をした。そして質問が始まる。

「今日はどうやってこちらにいらしたんですか?」

「JAGUAR星から宇宙船JAGUAR号で来ました」

いつものように答えると、みうらさんは真面目な顔をして聞いてくる。

「JAGUAR号ってどんな形ですか?」

デーモンさんの悪夢再びだ。正直そこまで考えていなくて困ったジャガーは、絵に描いてみた。みうらさんはまじまじとそれを覗き込む。

「土星みたいな円盤型なんですね。大きさはどのくらいなんですか?」

「100メートルですね」

「中身はどうなってるんですか?」

「お風呂と、プール、ベッド、サウナ、トイレ、あとは……トレーニングルームなんかもあります」

みうらさんが絡むと、必ず他のインタビューとは違うものになる。それまで何度か他でもJAGUAR星の話はしたことがあったと思うけど、いつも聞き流されるばかりで、話題は地球の仮の姿の社長業のほうに集中した。

ここまで真面目に踏み込んでくる人はみうらさん以外におらず、その意味、みうらさんはJAGUAR星人に初めてコンタクトをとった人間だと言えるだろう。

「地球の、それもなぜわざわざ千葉に降り立ったんですか?」

「いや、東京よりごみごみしてないし、川もあって食べ物もおいしいし……」

「JAGUAR号は?」

「あれは隠してあります。これを見つけられたらジャガー帰れませんから。千葉のどこかの地下に埋めてあるとだけ言っておきましょうか……」

後日、「宝島」を広げると「みうらさんだけだよ?」と打ち明けた秘密が全部載っていた。そして、最後にはみうらさんの文章としてこう書き記してあった。

「矢追さん聞いてますか? 本物の宇宙人の貫禄を僕はジャガーに感じた」