「スタッフは海外を含めて50人ほど。どうすれば全員の雇用が守れるのか、ずっと考えていました。」とデビット伊東さんと妻の能子さん(撮影:本社写真部)
お笑いトリオ「B21スペシャル」で一世を風靡し、現在はラーメン実業家としても活動するデビット伊東さん。一時は海外にも店舗を構えるほどの人気でしたが、コロナが猛威を振るう2020年、店の大半を畳み、神奈川県の小さな港町・真鶴への移住を決断しました。そのきっかけを妻・能子(たかこ)さんとともに振り返ります(構成=平林理恵 撮影=本社写真部)

きっかけはテレビ番組の企画

デビット 20年前、お笑いタレントだった僕が、テレビ番組の企画がきっかけでラーメン店「でびっと」の経営を始めたときのこと覚えてる?

能子 うん。話を聞かされて、「やれば?」と言ったことは覚えてる。あのときはまだ結婚していなかったけれど。

デビット そう。僕が静岡のローカル番組のMCを担当していた縁で、焼津でエステティシャンとして働いていた能子さんと知り合ったのが1994年。すぐに遠距離でつき合い始めたよね。

結婚したのは、ラーメン店が軌道に乗って、チェーンを拡大している最中だった。芸人から役者になるときも、ラーメン店に専念することを決めたときも、その後また芸能界に復帰したときも、能子さんはいつも明るく「やればいいんじゃない」って言ってくれた。

能子 芸能界は私にはわからない世界だったから、あれをやるな、これをやるなと縛っちゃいけない、と思ったの。仕事のつき合いもあっただろうし、女性の友達もたくさんいただろうけど、そこに口を出したことはありません。不安はあったけれど。

デビット そうだったね。それに比べて、僕はホントにひどかった。自分でもそう思うもん。

能子 いっしょにいる時間、全然なかったしね。(笑)