コロナ下でデビットさんが考えていた言葉が、店内の壁に掲げられている

経営の状況が一変。大事な店を手放して

デビット いろんな銀行を回って3000万円借り入れて、「なんとかこれでしのいでくれ」と、残した3店舗に全部渡したんです。海外スタッフにもお金を配ったから、結局トータル7000万円くらい。僕は貯金がゼロになっちゃったけど、スタッフは誰も離れなかったよね。今は正社員も含めて20人くらいが頑張ってくれている。

能子 スタッフのことは守り切ったと思います。デビさんは、ずーっと前向きだった。

デビット 下を向きそうになったことは何回もあるし、こんなに借りちゃって一生のうちに返せるのかなあ、という思いは常にあったよ。だけど僕は頭が軽いからか、簡単に切り替えられちゃう。あのときも、必ず踏ん張ってどうにかしてやるって、すぐ次の計画にとりかかったもん。

能子 私もコロナが日本で感染拡大し始めたころは、すごくつらかった。近所の郵便局でクラスターが発生したと聞くと、外に出かけることも怖くなってきて。毎日なぜかピリピリして、次第にうつっぽくなってしまいました。

デビット その少し前から、あれ? と思うところはあったよ。いつも明るくて元気な能子さんが、ぼーっとリビングのソファに座っていたり、犬を抱いてただじっとしていたり。多分、海外のラーメン店の経営がいち早くすべて止まってしまったからだと思う。

能子 自分では気づかなかったけど、私、そんな感じだったんだね。